中塚久美子(朝日新聞大阪本社記者)基調講演
表題ー貧困の中で大人になる子供たちー深刻化する実態と記者としての問題意識
5/25/2013 大阪府保険医協会M&Dホール
1)困難な事情を抱えた家に生まれた子供とそうでない子供に学力・健康・意欲の格差が生まれている。
(この問題に関しての詳細は、下記のMBS「保健室からのSOS」で報告されている事と殆ど同様の事実が報告されているので、下記を参照して下さい。)
子供の貧困率=15.7%(厚労省発表)。虐待死する子供の数=51人(2010年度)(心中以外)。週に1人の割合で亡くなっている。高校中退者=53245人(1.7%)
2)貧困が社会問題として認識されず、日本では自己責任としての見方が依然根強い。
(戦後20年近くはコミュニティとしての関与が当然として考えられ、共に生きて行く「共生」という考え方が広く行き渡っていました。特に子供達は次世代を背負って行く「宝」として見つめられるのが一般常識として受け止められていた時代でした。高度経済成長が続く中で、その貴重な日本のアイデンテティが失われて行き、自分は自分・他人は他人となり、ソーシャルな価値観をも見失ってしまったのが、今日まで続いて来ました。by sonegoro)
3)子供の時期の貧困は、将来の人生に於いてどの様な不利益を与えるのか。
(初期段階における相異は時間を経るとともに大きくなり、今日の格差社会の原因となっています。他を押しのけて伸び上がるのが当然の様に捉えられています。西欧やアメリカにおける個人主義と歪んだ自由思想が疑念を持たれる事無く日本社会に定着してきた結果と考えられます。by sonegoro)
4)子供の貧困を放置すると、社会はどうなって行くのか。
希望の喪失、無気力、投げやりな生活、精神疾患、家庭不和、いじめ、不登校、孤立、DV,自殺・・貧困の蓄積はただ単に貧困だけでは終わらない。
5)子育てが困難な親への批判は解決策になるのか。
より深い溝の中へ追い込むだけ。親への適切なサポートが欠かせない課題。
~子供の貧困大国・イギリスに学ぶ~
「子供の貧困撲滅法」が成立・2020年迄に子供の貧困を無くす。
虐待予防は生まれる前から実施する必要がある。学校に福祉的機能を付加。
ーチルドレン・センターの設置ー3500ヶ所。問題の多い地域から優先的に設置。小学校に併設したり近隣のパブリックセンターに開設。
*幼児教育と保育・訪問支援・育児支援・親の就業支援・親の学習支援・10代の妊婦グループに助産師相談・金銭相談・育児サークル活動etc。
5才未満の子と親に必要な支援業務や情報の共有を、すべて一か所で受けられる「サービス・ハブ」の開設。
<日本で実施されている対策>
・学校活動の拡大(エクステンデッド・スクール)
放課後に居場所のない、あるいは一人になりがちな子供達に、勉強だけでなく、本音で話し合える環境作りの場を提供。主役は大学生のボランティア。地域のNPO,NGO等の活動。学校の教員は単に調整役としての立場。家族支援、始業前や放課後の遊び場、学習補助、朝食クラブ、親の学習クラス、相談等。
現在8000以上の学校で導入(約三分の一)。導入した学校では、成績、出席率、生活態度等が向上している。
・滋賀県守山市;市が滋賀県や京都府の大学生達のボランティア団体「アトラス」に協力要請。保護世帯の小学4年生~中高生対象。映画鑑賞やテニスなども行う。年間予算は30万円程(学生の交通費や保険代)。学力向上だけを目的としない。
・埼玉県;全県ベースで中高生対象。一般社団法人に委託。現役教員もボランティアで参加。
・相模原市;NPOに委託。専門スタッフや行政職員が勉強を教える。商店街の中に集合場所。商店はジョブトレーニングで協力。
・北海道釧路市;NPOに委託。中学生対象。民間企業の元社員寮を利用。支援する側とされる側の区別をしない。寮に住む生活保護受給者も先生役に。
・京都のNPO「山科醍醐こどものひろば」。勉強支援、夕食、遊び、風呂の提供。「安定した生活あってこその学習」
・大阪府箕面市;NPO「暮らしづくりネットワーク北芝」。子供だけが使える地域通貨「まーぶ」(まなぶとあそぶ)を発行。自分が働いて稼ぐ。食費として使える。仕事は自ら作り出したり、思いを売り込んだりする。
・福岡;一般社団法人「ストリート・プロジェクト」中退した10代から35才まで対象の高卒認定資格試験への教室。
・山梨;母親達が始めた「タダゼミ」。無料の家庭教師。
・高知の診療所;地域の中学生と協力しての勉強会。
・東京;会社員の女性が一人で始めた「めだかの学校」。子供だけ対象。
・愛知;定時制高校に子供を通わせていた親が自宅で始めた学習支援教室「ポストの部屋」
-今国会で審議入りする「子供の貧困対策法」- sonegoro
母がいないか、もしくは母が監護をしない場合に於いて当該児童の母以外の者がその児童を養育する時は、その母叉はその養育者に支給される。ただし児童が父または母の死亡について公的年金や遺族補償などを受ける事が出来る時、父に支給される公的年金給付の額の加算の対象となっている時、父と生計を同じくしている時、里親に委託されている時、母の配偶者に養育されている時 等は支給されない。 1998年からは、母が婚姻によらないで懐妊した児童であっても、父から認知された児童については支給対象になった。
受給資格者の申請に基づき都道府県知事が認定し、金融機関を通じて年3回(4・8・12月)それぞれ前月までの分を支払う。児童1人の場合42,130円、2人47130円、3子以降の加算額は3000円。(1998年)
田端洋一「公的扶助論」学文社より。 sonegoro
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