『吉本隆明の183講演 フリーアーカイブ計画』が、ただの口約束じゃなくて、とうとう実現しました。
あんまりたくさんあるので、少しずつ出していきますが、すでにもう、たくさんの人が無料で聴いてくれています。
このプランを、生前の吉本さんに提案してみたとき、「お好きなようにやってみてください」と、あっけらかんと、まさに快諾された日のことを思います。
いつかはできるような気がするけれど、こういうホラ話は、実現しないとおもしろくないよなぁ、 ちょっとぴりっとした気持ちになったっけなぁ。 著作権を引き継いだハルノ宵子さんの意志も、 吉本おとうさんと、まったくそっくりでした。
「そろそろ、いいんじゃない」の合図は、 もう、とっくに出ていたんですよね。 183回も、苦手だった人前に出て語ったことばが、公園の水飲み場の水のように、飲み放題になります。
どちらを向いていいのかわかりませんけれど、吉本さんに報告したいような気もします、が、 報告してもしなくても、草葉の陰のご本人は 「あ、そうですか」とあっけらかんと言うだけでしょう。
フリー(無料)を掲げていますので、むろん無料です。 「投げ銭システム」を気にしなくてもいいです。気になったら、ご寄付をくださってもありがたいです。きっと励みになりますし、この先のさまざまなメンテナンスについても、継続しやすくなります。
今夜ETVで午後11時からの、『日本人は何をめざしてきたのか 知の巨人たち第5回』 という番組で、吉本隆明さんが特集されています。番組内容について、ぼくは知りませんが、「吉本隆明の183講演 フリーアーカイブ」の公開が、この番組のオンエアに間に合ってよかったです。
やがて、順に全講演が聴けるようになりますが、 決して「能弁」とは言えない吉本さんの語りは、そこにいる人にしっかり聴いてもらえるように、とても親切な、わかりやすい語り口です。さっそく、今日、聴きはじめてはいかがでしょうか。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。生まれて死ぬまでの間って、長いようで短いものだよなぁ。土曜日、日曜日と祝日の「ほぼ日」は9時に更新しています。
表題をクッリクしてから表示されたページで 矢印をクリックしてご視聴して下さい。
《2015年10月現在すべての講演が公開されております》
2015年1月:
第一回(【A114】子どもの哲学) (【A115】異常の分散ー母の物語) (【A124】言葉以前のことー内的コミュニケーションをめぐって)
(【A133】家族の問題とはどういうことか) (【A137】現代社会と青年) (【A139】言葉以前の心について)
第二回(【A020】宗教と自立) (【A041】喩としての聖書ーマルコ伝) (【A050】シモーヌ・ヴェイユの意味) (【A148】蘇るヴェイユ)
(【A149】シモーヌ・ヴェイユの神) (【A176】苦難を超えるー「ヨブ記」をめぐって)
第三回(【A072】親鸞の転換) (【A078】親鸞の声について) (【A112】親鸞から見た未来) (【A118】未来に生きる親鸞)
2015年2月:
第四回(【A080】経済の記述と立場ースミス・リカード・マルクス) (【A086】資本主義はどこまでいったかー経済現象からみた現在)
(【A108】日本経済を考える) (【A120】高次産業社会の構図) (【A160】現代を読む PART2)
第五回(【A100】わが歴史論ー柳田国男と日本人をめぐって)(【A104】都市論Ⅱ-日本人はどこから来たか)
(【A127】渦巻ける漱石ー「吾輩は猫である」「夢十夜」「それから」)(【060】<アジア的>ということーそして日本)
2015年3月:
第六回(【134】資質をめぐる漱石ー『こころ』『道草』『明暗』)(【143】青春としての漱石ー『坊っちゃん』『虞美人草』『三四郎』)
第七回(【141】宮沢賢治) (【157】太宰治) (【A170】ヘーゲルについて) (【A183】芸術言語論ー沈黙から芸術まで)
(【016】宗教としての天皇制) (【A060】<アジア的>ということーそして日本)
子どもというのは、単独ではまったく意味がなく、
定義することのできない存在です。
少なくとも母親、もっといえば父親も交えて、
「親というものと込み」でしか、
定義することができません。
だからいったん児童期、思春期になって、
おかしくなってしまったときには、半分はもう遅いんです。
はじめに決定論的なものが半分あって、
「まだ半分はさかのぼる余地もあるよ」 ということになると思います。
子どもというのは、親と2世代の込みで考えると、いろんな問題が自ずから解けていくということがあると思います。
僕らがこういうことをよくよくわかることができたら、またフランクに話すことができたら、子どもにとっても親にとっても幸いなことだと思います。
講演日時:1988年11月10日
主催:本郷青色申告会
場所:本郷青色申告会館
収載書誌:未発表
【A124】言葉以前のことー内的コミュニケーションをめぐって
受胎して36日前後には、魚類から両生類へ。
この時から「悪阻(つわり)」や感情の激変などが・・。
エラ呼吸から肺呼吸に変わる人類の歴史を辿る。
3か月位から胎児は夢をみる・・。
6か月位で耳が聞こえ、母親の声や近しい人の声が判別・・・
続きは本編でお聞き下さい。
何が重要かというと、まず母親の物語というのが重要です。
母親の物語とは何かというと、子どもとのあいだの物語です。それは、簡単な要素からできあがっています。
イメージを考えますと、抱く、授乳する、オッパイをやるということ、それからとにかく眠らせるということです。
睡眠のはっきりしたパターンをちゃんとつくりあげることです。それから排泄の世話をする。後始末をするということです。
これは動物だったら、母親はお尻をなめてやったりしますけど、同じことです。これが母親の物語を構成する基本的な要素です。
つまり、母親と子どもの物語の構成要素というのは、抱くとか授乳とか眠らせるとか排泄の世話をするという、これだけの要素からできあがっています。この要素が、どうして物語になるのでしょうか。
講演日時:1988年11月12日
主催:宮崎市・一ツ瀬病院・精神医療を考える会
場所:宮崎市中央公民館
収載書誌:弓立社心とは何か』(2001)
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