*ニュース更新のお知らせ<2015年3月30日>
■患者さん由来のiPS細胞を用いて脊髄性筋委縮症(SMA)の病態を再現
https://www.cira.kyoto-u.ac.
《YUH ASAGIRI=朝霧裕(脊髄性筋萎縮症・ウエルドニッヒ・ホフマン症の歌手)》
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【 ご寄付のお願い
:iPS細胞研究基金 】
一日も早く研究の成果を患者さんに届けるために、
皆様からのご支援を募っております。
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/
≪ご報告≫
iPS細胞研究講演会=2015年3月14日=於:京都劇場
ー先端医療~治らない病気への挑戦ー
1.「ガン治療の革命・ウィルス療法」
ー藤堂具紀:東京大学医学研究所 先端医療研究センター 先端がん治療部門ー
・ガンの治療法として現在行われている薬物投与、放射線治療などに加え、ウイルスを投与する
ことによって、ガンを治療する新しい分野が世界で確率されつつある。
この分野では欧米に比して日本は大きく出遅れている。
・G47Δ(G47デルタ)をガンに冒された患部に直接インジェクトする。
・脳腫瘍の場合、ウイルスを注入した後数か月で腫瘍の減少がみられ、逆にウイルスが増加して
いた。この投与を繰り返すことによって、社会復帰することができた。
・ウイルスに更に治療遺伝子を組み込むことによって、更に治癒力を増強することができる。
・ガンの多様性に対応することができる。
・今年度中に欧米ではこの治療薬の販売が開始される可能性。
・日本が追いつくには資金とマンパワーが圧倒的に不足している。
・現在使っているウイルスは自分がアメリカから持ち帰ったウイルスである。
2.「細胞シートを用いた心筋再生医療の未来」
ー澤 芳樹:大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座心臓血管外科ー
・重症心不全に対するiPS細胞由来の心臓シートを患部に貼り付けることによって、弱っている、
あるいは機能の低下している心筋を補強し、健全な状態に戻す。
・これまでは心臓移植による方法しか望みはなかったが、これからは心筋細胞シートを創ることによ
って、これまで移植のチャンスが少なかった小児患者を救うことができる。
・心筋シートを貼ることによってサイトカインが活性化され、心筋の中の因子そのものが細胞を
補充し復活させる。
・臨床応用ももうそこまできている。
・普遍的な治療として確立する必要がある。
・現在では大阪大学でしか行われていないが、海外からの問い合わせも多く、イスラーム圏の
人たちも検査や治療に訪れている
3.「iPS細胞が拓くこれからの医療」
ー山中伸弥:京都大学iPS細胞研究所 初期化機構研究部門ー
・先天的軟骨無形成症(achondroplasia)などが生薬によって治療できる可能性が出てきた。
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)の場合、iPS細胞に従来からあった「コレステロール値を下げる
薬」を加えることによって治療できることが判ってきた。
・不治の病とされてきた難病も患者さん由来の細胞を研究することによって、iPS細胞との連携
を模索することによって、次々と新たな生薬が生まれ出る可能性が広がっている。
・日本は世界に冠たる長寿国であるが、健康寿命という点では寝たきりや介護を必要とされる
方も多い。私たちの目指す医療は健康寿命をのばすことである。これによって、国民全体の
医療費負担が軽減され、生涯現役として過ごされる活気ある社会が実現できる。
・私の母は80才を過ぎ、あれほど口うるさかった母がころんで腰を骨折してからはすっかり弱く
なってしまいました。幸い私と違って優秀な整形外科医の先生が執刀してくれたお蔭で、今は
元気になっております。私の整形外科医のころはよく「ダメ中」と言われおりました。
・現在のCiRAは90%の研究者(300人の内)が臨時雇用である。優れた研究成果があげなければ
継続雇用が出来ないという厳しい局面で研究せざるを得ない状況。それはシンガポール型の
効率重視の施策をとっている現在の日本政府の方針であり、競争的研究費(雇用)として助成
金を受け取っているのが現状。
・優秀な研究を維持し、更なる可能性を引き延ばして行くには、資金が必要であり、それらの
資金は市民の皆様からの寄付に頼っている。毎年5億円を目標として寄付を募っています。
・私が京都マラソンに出るのもご寄付を頂くキャンペーンの一環であり、1回走ると約1千万の
寄付が集まります。5億円を目標とすれば後50回はマラソンをしなければなりません。
・どうかご寄付下さいますよう、宜しくお願い致します。
*話慣れた山中教授特有の、ユーモアを随所に織り込んだ講演でした。
4.「倫理の窓から見たiPS細胞」
ー藤田みさお:京都大学iPS細胞研究所 上廣倫理研究部門ー
・人由来のES細胞には受精胚を用いるという倫理的課題がありました。アメリカではエヴァン
ジェリカル(福音派)を支持基盤に持つブッシュ政権下ではES細胞研究に対しては予算が
取れませんでした。
・そこで生まれたのがiPS細胞でした。
・現在行われている実験は腎臓のない豚を生み、その豚に人の腎臓のiPS細胞を埋め込み、
育てる。すると人の腎臓と共に成長して行く。このような動物で人の臓器を創ることは
倫理として許されるのかどうか?
・動物の組織を使った医療は現在ではすでに進行している。
△様々な基礎研究として役立っている。
△感染症や拒絶反応が懸念される。
△人と動物の境目が曖昧になる。
・人のiPS細胞から精子と卵子が生成されると、同性婚による子どもが生まれることも
可能となる。
・このようにして生まれた子どもの未来は誰一人考えることが出来ないのが現状。
・少子高齢化社会に対応できると考える人さえ出てきている。
・現在の日本では胎盤(胚)を創ることは検討されているが、出来た胚を胎内に戻すことは
許されていない。
・生命倫理学は今人権、科学と社会性、などという問題に取り組んで行かなければならない。
・体外受精は神の領域であると考える人々も多いが、これを倫理観として専門に対話を
重ねていく社会機構が必要。
・日本社会全体で話し合う必要があり、さらに世界へと情報発信していく必要を痛感している。
以上が今回の京都での講演会での大凡の概況報告です。
私見を述べさせていただければ、先進医療の分野は今世紀に入りその進化を急加速している様に感じます。
それ故に私達人間の考え方そのものが追いついていない、ということを実感として持ちます。
iPS細胞研究に限らず、科学的進化は止まることはないでしょう。
倫理、あるいは人類全体の哲学が確立されないままに、このまま無軌道に世界中の科学者達が
研究だけを加速させて行けば、私たちの想像もつかない世界が具現されるかも知れません。
私たちに課せられている課題はとてつもなく重要な問題であり、「倫理の確立こそが最も最優先されなければ
ならない」というのが今の私の実感でございます。
何よりも恐ろしいのは、経済を最優先に考える資本主義社会の構造と、それに遍く付き従っている
政治家、コングロマリット企業、マネー、そして目を見開くことが出来ていない市民たちです。
更にさらに<21世紀:市民の道標>のページを充実させ、市民参加の対話が出来るようにしなければ
ならないと痛感しております。
今こそ我々市民が、世界中の市民が、手を携えて社会理念、まったくぶれない哲学理念の構築を
すべき時に来ているように思います。
アイスランド市民の啓発活動のYoutubeをご案内させて戴きます。
彼らはまさに私たち市民機構の理念を具現化された行動を執ろうとしておられます。
国家的破綻に陥ってしまった当該国の中から、むっくりと起き上ってきた市民たちを主役とした社会が、
すでに芽を吹きだそうとしています。
Youtube: http://goo.gl/GE0Ln5
私達は彼らの行動に対し賛意を表すると共に、彼ら自身にも未だ判っていない、
社会機構の基盤となる原理構造そのものを、早急に纏めたいと思っております。
ーNGO市民プラットフォームジャパンー 主宰 西田博一
【山中伸弥教授、京都マラソンで自己新、初のサブ4達成!!】
2月15日(日)
「京都大学iPS細胞研究所:よくわかる!iPS細胞」
「よくわかる!iPS細胞」オンライン講座は2015年3月29日をもって閉校させて戴きました。
多くの方にご視聴賜り誠にありがとうございました。
今後とも「京都大学iPS研究所」をご支援下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
2010年 京都大学 CiRA一般の方対象シンポジウム 山中 伸弥 教授
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